龍漫

 

 

 

変恋愛物語

 

 

作、りゅう

 

 

 

第1回

 

この物語の主人公である女性。24歳フリーターの木梨美異茄子(きなし・びいなす)は変だった。

とにかく変な女性である。

自分の事をビーナスだから美しいのよと皆に言いふらす。

考え事をする時は必ず逆立ちをする。

寝る時は目を開けて寝るなどなど、変な行動を上げればキリが無い程だが、ビーナスは自分では変とは全く思っていない。

そうあだ名は勿論ビーナス。そんな彼女にも好きな男が出来た。

男の名前は真面目亜保龍(まじめ・あぽろん)あだ名はアポロン。その名の通り真面目な男だ。

出会いはビーナスが働いているレストランのテニースである。

 

「いらっしゃーい!」

とビーナスが言う。そう、男が二人。テニースに客としてやって来たのだ。

二人を席まで案内する。そしてビーナスがお水を運んでいく。

が!?男の一人に水をぶっかけてしまう。

その水をかけられたのが、小中池谷鉄貴(こなかいけたに・てっき)である。

てっきはカンカンに怒ってクリーニング代どころか新しい洋服をよこせ!と息巻いていた。

しかしアポロンが。そう、てっきの連れがビーナスの初恋の相手のアポロンだった。アポロンがてっきをびんたして黙らせた!

「水で濡れたぐらいなんだ!乾けば元通りじゃないか!謝っているんだから、もう許してあげなよ。」

ちなみにビーナスは全く謝っていない。でもビーナスはこの時にアポロンに惚れてしまった。

ちなみに悪いのはビーナスで、てっきは被害者であり、しかも客である。

てっきはびしょびしょのまま、ほっぺたが腫れた状態で泣きながらテニースから飛び出して行った。

「あの」

とビーナスがアポロンに声かけようとしたが、アポロンは。

「てっきゴメンよ〜」

とテニースから出て行ってしまった。

「あの人に決めた!」

ビーナスはいつ来るのかも分からない、もしかしたら二度と来ないかもしれないお客に恋をしてしまった。そう変恋愛の始まりである。

 

 

 

第2回

 

ビーナスこと木梨美異茄子24歳が恋い焦がれる、アポロンこと真面目亜保龍30歳には、実は好きな女性が居た。

小中池谷鉄貴28歳の、姉のみかん31歳の娘。れもん5歳その人である。

ビーナスの恋敵が、まさか5歳の女の子だとはビーナスは知る由もなかった。

だがアポロンは本気でれもんを愛していた。

アポロンは思い切って、れもんをデートに誘う為に小中池谷家にやって来た。

 

「やあ、てっき!この間はテニースで散々な目に合ったな。」

「ああ、散々な目に合ったよ。おまえに叩かれてな。」

そう会話しながら小中池谷邸にアポロンは入って行った。

するとアポロンの意中の人れもん5歳をちょうどみかんが連れて来ていた。

これはチャンス!とアポロンは早速れもんにデートを申し込むのであった。

「ねえ、れもんちゃん。チョコレートパフェを食べにテニースに行かない?」

「うん、行く!」

こうして二人はデート?に出掛けた。

 

テニースにて。

「あの人、今日は来るのかしら。なんか来そうな気が、あ!ほら来たわ。」

アポロンとれもんが店に入って来た。

「いらっしゃーい!」

と、ビーナスは出迎える。二人を特別席に連れて行く。

特別席とはテニースに毎月百万円お布施している人しか座れない特別な席なのである。

実はテニースは宗教法人レストランなのである。

「こんな尊い席になんて座る事は出来ません。」

アポロンは普通席に行こうとした。

「大丈夫よ。あなたの名前でテニースに一千万円お布施したから。」

ビーナスはとんでもない事を言い出した。これが恋の力なのか?

「そんな!赤の他人にそんな事をしてもらっても困ります。あなたに一千万円差し上げますので、銀行から下ろして参りますので、待っていてください。」

「いえいえ、あたしは一千万円なんて要りません。あたしの恋人になって頂ければ、それで十分でございますわ。」

「申し訳ありませんが、それは出来ません。僕には既に相手がおりますので。」

「何で!何でなの!あたしにはあなたしか居ないと言うのに!新型インフルエンザ並みの驚異だわ!」

「ごめんなさい。彼女が僕の恋人です。」

紹介されたのは五歳の女の子だった。

「ちょっと待って!頭が混乱して来たわ。その子供があなたの恋人なの?トシはいくつなの?」

「五歳です」

「ね〜こいびとってな〜にい?」

れもんもよく分かっていない。

「僕とれもんさんの関係の事ですよ。」

「そーなんだー。れもんとアポロンは、こいびとなんだー。」

「僕達は愛し合っているんです。」

ビーナスはショックだったが、2秒で立ち直って、どうやって五歳児からアポロンを略奪しようか策略を練っていた。

 

2日後。アポロンが一千万円をビーナスに渡しに、れもんとイチャイチャしながらテニースにやって来た。

 

 

 

第3回

 

アポロンとれもんがテニースに行くが、ビーナスの姿が見えなかった。

「あのう。木梨さんに一千万円を渡しに来たのですが…」

「一千万円?木梨さんにお熱で大金を注ぎ込んでいると噂の小中池谷さんってあなただったのね?木梨さんなんかにお布施しないで、テニース神にお布施しなさい!」

アポロンは何のこっちゃと思った。全く理解不能だった。

「何のこっちゃ。」

そう言って家に帰ろうとしたら。

「あのう。その一千万円を木梨さんに上げるだったら私に下さい。」

さっきの店員が図々しくそう言って来た。

「こう言っては何だけど、木梨さんなんかより私の方が美人だし、性格も良いと思います。だから木梨さんじゃなくて私に注ぎ込んだ方が、私にとって良いと思います。それにあなたとだったら付き合っても良いわよ。」

その図々しい店員の名は図宇随飼子(ずう・ずいしこ)と言った。26歳だが確かにビーナスより美人だった。

「すみません。お断りします。僕の隣りに居るのは僕の恋人なんです。」

「へ?」

随飼子がアポロンの隣りを見るが幼稚園児しかいなかった。

「お客様、お寝ぼけないで下さいませ。そんな人はいないでゴメン遊ばせ。」随飼子の言葉使いは変だった。

「こんな変な人に関わっていても時間の無駄だ。行きましょう。僕のハニー。」

「うん、行く。あたし、ハニーじゃなくて、れもんだよ。」

「ははは。そうでしたね。じゃあハニーはあだ名って事にしましょう。」

「うん、わかった。」

随飼子は一体何が起こったのか分からなかったが、どうやら自分は降られたようだと一時間後に気付いた。

 

ビーナスの住んでいるアパート「茄子荘(なすそう)」にて。

ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!

「うん、もううるさいわね!今出るわよ!」

ガチャ!

バタン!

「あいつだ!」

「入れとクレー!」

「ヤダヤダ!あんたなんかヤダヤダ!」

「わしゃあんただけなんじゃ。ビーナスちゃーん!」

突然ビーナスのアパートに押し掛けて来た男。

小中池谷鉄貴の祖父。小中池谷留吾郎(こなかいけたに・とめごろう)97歳は妻に二年前に先立たれ落ち込んでいたら、妻の若かりし頃そっくりの女性をテニースで見つけた。

それがビーナスだった。

それ以降、留吾郎はビーナスに全財産を注ぎ込み続けていた。家族には内緒で。

そうは知らずに留吾郎の遺産を当てにしててっきの親は昨年、一億円の豪邸を購入した。

実際留吾郎は五億円の財産があった。

しかし今ではビーナスに注ぎ込んでしまった為に五万円しか残ってなかった。

留吾郎はビーナスが欲しがる物は全て買ってあげた。

毎月一千万円の小遣いを上げていた。

しかし、留吾郎のお金が五万円しか残っていないと知り、ビーナスは留吾郎を捨てた。

ちなみにビーナスは留吾郎の事は好きでも何でもなかった。足長おじいちゃんだと思っていた。

そして留吾郎を捨てた一週間後にアポロンと運命的な出会いをした。

ちなみにテニースで随飼子はアポロンを留吾郎かと勘違いしていたのであった。

 

次の日。

ビーナスはアポロンの住所を探偵に調べさせて、アポロンの家に向かった。なんとしてもアポロンと付き合う為に!

 

 

 

第4回

 

ビーナスはアポロンの家の前の壁で、アポロンを五歳児からどうやって奪うか、策略を練っていた。

もちろん逆立ちをして。

一般人達はビーナスを横目で見て、クスクスしながら通り過ぎて行った。

「やだ、何あれー。」

「とんでもないなあ。」

「ママ何あれー。」

「まさるちゃんあんなの見ちゃダメよ!」

今日はスカートを履いている日だったのだ!しかしそんな事よりもアポロンをどうにかする事の方が、ビーナスにとって最重要事項だった。

一時間後。ビーナスはいい案が思い付かずにいた。そこへ、誰かが通報したのかお巡りさんが駆けつけた!なんと!ビーナスはパのつく物を履き忘れていたのだ!

ビーナスはわいせつ罪で警察に捕まった。

「あれれ?どっかで見た顔だと思ったらテニースの店員さんじゃないですか。捕まっちゃったんですか?」

警察でビーナスはアポロンに出会った。なんとアポロンは刑事だった!

「あ…。」

ビーナスは何も言えなかった。

アポロンはビーナスのその姿を見て、かわいそうにと同情した。そして同情が愛情に変わり始めていた…

 

2日後、ビーナスは釈放された。

「あの、僕は一応知り合いなんで、家まで車で送っていきますよ。」

「いいんですか?」

アポロンはビーナスを車に乗せた。

車の中でビーナスは、こんなチャンスは滅多にないと言わんばかりに、アポロンにダメ元で告白した。

「こんなあたしで良かったら、あなたの恋人にさせてください。」

するとアポロンは、少し考えてから。

「出会ってから間もないし、いきなり恋人になると言うのは無理があると思います。とりあえず友達から始めて、様子を見させてください。それで、れもんさんにするか木梨さんにするか、決めさせて貰います。」

「そうですか。分かりました。」

ビーナスはがっかりしたが、よく考えてみると以前よりかは前進している事に気がついた。恋人にこそなれなかったが、友達になる事が出来て、アポロンは、五歳児と自分のどちらにするか、様子を見ると言ってくれたのだ。

「あの、じゃあ次の日曜日にトイザマスに買い物に行きませんか?」

ビーナスは、思い切ってデートに誘った。

「いいですよ。買い物に付き合うぐらいなら。」

アポロンはデートとは思ってなかった。

 

そして日曜日。ビーナスは作業用の軽トラでアポロンを迎えに行った。

「こんにちは。」

「こんにちは。あ!軽トラかあ。姉ちゃんも行きたいって言うですよ。軽トラじゃ3人はきついなあ。」

「え?姉ちゃん。そんな事出来ないよ。」

「いいから、いいから。」

アポロンの姉ちゃん、真面目姉三鳥居(まじめ・ねえさんとりい)35歳独身は、アポロンが遊びに行く時によく付いてくるのである。

「アポロン!あなたはその汚い軽トラを運転なさい!私は、助手席に乗るわ。」

「え?あたしは…」

「あなたは荷台に乗る!」

姉ちゃんは、アポロンにビーナスの軽トラを運転させて、助手席に自分が乗り、ビーナスは荷台に乗せられて、3人でトイザマスに向かった。

 

ビーナスは二度と軽トラで、アポロンを迎えに行くまいと誓うのであった。

 

 

 

第5回

 

大型おもちゃ店、トイザマスに着いた。ビーナスは軽トラの荷台からさっそうと飛び降りた。

「カッコいい!」

アポロンの姉ちゃんは拍手をした。アポロンはさっさとトイザマスに行ってしまった。

「待ってー、真面目さーん!」

そして3人はトイザマスに入る。

「そう言えば、代わりにお布施してくれた一千万円を、返さないといけなかったですね。」

アポロンがそう言うと、ビーナスは。

「よかよか。あたしはお金には困ってませんの。オホホ。」

ビーナスは小中池谷のじいちゃんに貰った小遣いが、まだ一億円ほど残っていたのだ。

「そんな事よりも、あたしがあなたに、トイザマスで何でも好きな物を、いくらでも買ってあげますわよ。オホホ。」

「そんな、悪いですから結構です。それよりも木梨さんの欲しい物を、グフッ!」

アポロンのお姉ちゃんが、アポロンの口を封じた!そして。

「いやいや、あたしね。おもちゃには目がないのよ。買って貰っちゃいましょうよ。いいわよね!」

「いいですわよ!真面目さんのお姉様になら、なんでも買ってあげますわよ。オホホ。」

ビーナスは二人に気に入られようと必死だった。そして姉三鳥居は遠慮と言う物を知らなかった。

まず、当たり前の顔をしてPS3とウィーとXbox360とPSPとDSをビーナスに買わせ、売り場にあったゲームソフトを全て買わせた!

そして、ありとあらゆるおもちゃを手当たり次第にビーナスに買わせた!

ビーナスは真面目さんも遊ぶだろうから、別にいいわと思って買っていた。だがアポロンはおもちゃに興味もなければ、ゲームもやらない人間だった。おもちゃとゲームに興味があるのは、あろうことか、この二人の女だけだった…。

そしてビーナスは軽く一千万円の買い物をしてしまった。ビーナスはアポロンの点数を稼いだつもりだったが、アポロンはおもちゃに興味ないしゲームもやらないので、実はあまり喜んでなかった。むしろ邪魔な物が増えたと迷惑に思っていた。ちなみに姉三鳥居は当たり前のように思っていて、二人共ちっともビーナスの点数は上がっていなかった。

ビーナスは、このまま家に帰っては全然デートって感じじゃないと思い、アポロンだけを喫茶店に誘う事にした。

「あの、お姉様を家まで送って、二人だけで喫茶店に行きませんか?」

「なんで、そんな事をするんですか?どうせなら、あなたのおごりで、3人で焼き肉を食べに行きましょう!」

アポロンも図々しくなってきてしまった。

「うん、ええよ。」

ビーナスは二人だけじゃないけど、アポロンと食事に行けて夢のようだった。

 

そして、3人は軽トラで焼き肉屋に行くのであった。軽トラの荷台にはおもちゃの山と、もちろんビーナスがちょこんと乗っていた。

 

 

 

第6回

 

三人は焼き肉屋にやって来た。すると焼き肉屋の隣りにゲームセンターがあった。

「お腹を空かした方が焼き肉をいっぱい食えるから、ゲームセンターで遊んでいきましょうよ!」

ゲーム好きの姉ちゃんは、ゲームセンターに行ってしまった。

上手い具合に邪魔者が消えたので、ビーナスはアポロンを近くの喫茶店に誘うのであった。

「あの、ここの近くに喫茶店があるんだけど、行きませんか?」

「はい、喜んで。」

何故だか今回はアポロンは素直だった。

 

喫茶店にて。

「僕が払いますので、好きな物を注文して下さい。」

「え?いいんですか!」

ビーナスは嬉しかった。お金とかよりもアポロンの気持ちが嬉しかったのだ。

「じゃあ牛乳を。」

「僕も牛乳にします。」

店員が牛乳を2つ運んで来た。

「牛乳、美味しいですね。」

「ええ。」

なんだか二人はいい感じだった。

「あの。」

「なんですか?」

「アポロンさんは牛乳飲んでも、お腹は大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫ですよ。」

「実はあたし、ダメなんですよ。あ!も、漏る漏る漏る漏るモルモット!」

ビーナスはトイレに駆け込んだ!

 

「あースッキリしましたわ。少し漏らしてしまったですけど。」

ビーナスがトイレから出てきた。ビーナスが、牛乳がダメなのになんで頼んだのか、アポロンは不思議でしょうがなかった。

そこへ、なんとアポロンの意中の人、れもんさんが、お母さんのみかんさんに連れられて、店に入って来た!

ビーナスは嫌な予感がした。

「あ!れもんさん!」

アポロンがれもんに気付いた。

「行かないわよね。」

ビーナスは、アポロンがれもんの所に、行ってしまうんじゃないかと心配だった。

「はい、行きます。」

アポロンは、そう言うとれもんの元に行ってしまうのであった。

ビーナスは五歳の子どもに負けてしまった。

「れもんさーん!運命的な出会いですね!」

「あ!アポロン!運命って何?」

「僕とれもんさんが出会う事ですよ!会いたかったです!」

みかんは、あっけに取られていた。

「じゃ、じゃあアポロンさんもご一緒しますか?」

「もちろんですともお母様。」

「ハ、ハハハ……。」

 

一人取り残されたビーナスは、もう、どうでもいいやと思った。

そこへ、ゲームで散々遊んだ姉三鳥居がやって来た。

「さあ、ビーナスちゃん!焼き肉食べましょー!」

「あたし、そんな気分じゃありま千円。」

ビーナスはそう言うと千円札を取り出して、喫茶店の料金を払うのであった。本当は、アポロンが払ってくれてたハズなのにと思いながら、ビーナスは、姉三鳥居と喫茶店を後にした。

 

「れもんさんバイバーイ!」

「アポロンちゃいならー!」

「アポロンさん、おごってもらっちゃって、すみません。ではご機嫌よう。」

アポロンが、れもんとみかんを見送り、ビーナスと姉三鳥居の元にやって来た。

「焼き肉焼き肉〓〓」

アポロンは、焼き肉目当てでビーナスの元へ戻って来た。それでもアポロンが戻って来てビーナスは嬉しかった。

こうして、三人は焼き肉屋へと入って行った。

 

 

 

第7回

 

焼き肉屋にて。

 

アポロンと姉三鳥居は焼き肉を山のように注文して、バクバクと食べていた。もちろんビーナスのおごりだからである。ビーナスは一人でビビンバを食べていた。

 

そこへなんと小中池谷家族が焼き肉を食べにやって来た。もちろんじいさんも一緒に。ビーナスはヤバいと思った。

「ビーナスちゅわーん!」

じいさんがビーナスを発見するなり飛びついて来た!

「キャー!」

「あ!すみません、ウチのおじいちゃんが……」

小中池谷の母ちゃん、小中池谷野母(こなかいけたに、のはは)58歳は、おじいちゃんったら、しょうがないんだからと思っていた。

「じいさんすげーよ!オレあんな事出来ねーよ……ってあんた!オレに水をぶっかけてくれたテニースの店員じゃねーか!何アポロンと飯食ってんだよ!あの時の落とし前…」

てっきは息巻いていたが、ビーナスが百万円程取り出すと黙ってしまった。

「はい、どーぞ。あの時のお詫びです。どうか受け取ってください……あの時はごめんなさい。」

するとじいさんが、その百万円を奪ってしまった。

「これは元はワシの金なんじゃー!」

「じいさん何ワケ分かんない事言ってんだよ!」

てっきは金をじいさんから奪い返すと、何を買おうか考えていた。

「ワシの金なんじゃー!」

「おじいちゃん、頭がボケてしまったのかしら、施設に入れた方が良いかもしれないわね。」

「そうだな、じいさん貯金が五億円あるから、楽勝で入れるしな。」

小中池谷の父さん、小中池谷野父(こなかいけたに、のちち)59歳は、五億円なんて、とっくに無い事を知るよしもなかった。

そしてビーナスのおごりで、小中池谷家族と真面目姉弟の大人数で、ワイワイと焼き肉を食べて夜も更けていった……。

 

次の日、小中池谷邸にて。

「じ、じいさん!なんで通帳に五万円しかないんだ!」

「あなた、おじいちゃんはボケているから、そんな事言っても無駄よ…」

「そうだったな。しょうがない、じいさんを施設に入れるのは諦めるか。」

「じゃあ、どうします?」

するとじいさんが口を開いた。

「ワシはビーナスちゃんと結婚するんじゃ!」

「はいはい、そうですねー」

野母は軽くあしらった。するとじいさんはビーナスとの結婚届けを戸だなから取り出した!なんとどう言うワケかビーナスのハンコがちゃんと押してあった!

野母と野父は驚愕した!

その頃ビーナスはアパートで、ハンコが無い事に気付き、一生懸命探していた。

ピンポーン!とチャイムが鳴った!

ビーナスがドアを開けると、タキシード姿の小中池谷留吾郎が花束と結婚届けを持って立っていた。

ビーナスは開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

 

 

第8回

 

 

ビーナスのアパートで、小中池谷じいさんVSビーナス仮面のバトルが始まった!

「その婚姻届を渡しなさーい!」

ビーナス仮面ライダーが小中池谷留吾郎に襲いかかった!

「やーだよ!」

留吾郎は逃げ出した!

「留ちゃん待てー!」

留ちゃんは市役所に向かっていた!

 

二人して市役所に来てしまった。

果たしてビーナスは、じいさんと結婚してしまうのか!?

 

しかし、留吾郎が婚姻届を提出しようとした隙を狙って、ビーナスが婚姻届を奪い取り、ビリビリに破ってしまった!

「ああー!何て事をするんじゃあ!」

留吾郎はショックのあまり、お漏らしをしてしまった!

市役所の職員は、呆気に取られていた。

そこへ、小中池谷野父が現れちゃった!実は野父は、市役所で働いているのだ。

「じいさん!そこまでモウロクしてたのかい?実は格安のボロ老人ホームが見つかったんでーす!良かったねじいさん!なんと!今日から入居できます!さあ連れて行ってあげまちゅね。」

「あ…う〜」

留吾郎は天国から地獄に突き落とされた気分だった…

「バイバイ留ちゃん!」

ビーナスはご機嫌でアパートに帰った。

 

ビーナスがアパートに帰ってくると、なんと!実家からビーナスのお父様、木梨茄子太郎(きなし、なすたろう)65歳が来ていた。

「ビーナスや、お前もお年頃だな。だからワシがお見合いをセッティングしたぞい。」

なんとお見合いの話が出て来てしまった!

「お父様、あたし好きな人がいるんです。」

「そうか。」

「はい、そうなんです。」

「なら、その男は諦めろ!」

「えっ!」

「代わりに、このお見合い相手と結婚するんじゃ!」

「なんで?どうして?」

「フッフッフ。実はそのお見合い相手の妹が可愛いんだよ!」

「え?どう言う事?意味分からない。」

「ワシはその娘と、お近づきになりたいんじゃ!なんとしても結婚するんじゃ!」

「ヤレヤレ、しょうがない。とりあえず写真だけでも見るわ。」

 

ビーナスは一瞬自分の目を疑った!なんとお見合い相手の写真が、あのアポロン様なのだ!

「お父様!」

「なんだ?」

「喜んでこのお見合いをお受けします!」

「そうか!やってくれるか!」

 

こうしてビーナスは、アポロンとお見合いをする事になった。

 

そしてお見合いの日がやって来た。

 

 

 

第9回

 

ここは、ホテル「つぶれ屋」。その名の通り、今にも潰れそうなこのホテルで、ビーナスとアポロンのお見合いが始まる!

 

「お父様!あたし頑張る!」

「そうだ!雪子ちゃんを手に入れるんじゃ!」

「父ちゃん!あたいが手に入れるのはアポロン様でございますわよ!オホホ!」

「ウ、ウム。そうだったな。頑張るんだよ。」

雪子ちゃんとはアポロンの妹の真面目雪子(まじめ、ゆきこ)16歳の事である。アポロンとは年のかなり離れた兄妹である。姉三鳥居を入れた、三姉弟妹だった。

 

ビーナス、いざ出陣!

 

と、思ったら、ビーナスはホテルの玄関先の壁で、作戦を練る為に逆立ちをおっぱじめた!

ちなみに、今日は決めて来たので高級の着物を来ていた。そして、ビーナスは着物を着る時は、何故かふんどしをする癖があった。

しかし!逆立ちを始めて直ぐにアポロンが妹と一緒にやって来たのが見えた為、ビーナスは逆立ちを止めた。

「こんにちはでございますですわ!」

ビーナスの挨拶は変だった。

「こんにちは!」

と、アポロン。

「こんにちはでございますですわ!」

雪子はビーナスの変な挨拶を真似した。

 

3人はホテルに入って行った。

そして中にいた茄子太郎と合流して部屋に入って行った。

 

「あのう、アポロン様はご趣味は?」

「あれ?あんなに一緒にいたのに俺の趣味も知らないの?」

「兄ちゃん!ここは一応そう言う場所なのよ。」

「え?ああ、そうだったな。ウム、ワシの趣味は、趣味は、趣味は…あれ?俺って趣味がこれといってね〜や。」

「あの…趣味の他に、何か好きな食べ物は?」

ビーナスの言葉使いは、なんか変だった。

「好きな食べ物はブリです。」

「え?ブリ?ブリは私も好きでございますわよ。」

「そうですか。初めて気が合いましたね!」

「えっ?」

ビーナスは、あれだけ会っていて、ようやく初めてアポロンと気合ったのがブリだなんて、ブリだなんて、ブリだなんて……と嘆いていた。

 

そしてお見合いはビーナスが放心状態のままお開きになった。

 

ビーナスが我に返った時には、帰りの飛行機の中だった。

 

「さあ!ビーナスや、気を取り直して次の相手じゃ!」

「ちょっと待ちーな!父ちゃん!ダメって決まったワケじゃ…」

「ありゃダメじゃ…おまえ、後半は虚ろな目で、ブリ、ブリ言ってお見合いになってなかったじゃないか。大丈夫じゃ!可愛い妹のいる男はアポロンだけじゃないわい!」

 

そして飛行機はハワイに着いた。

「あり?お父様!ここはどこ?そもそも、なんであたし、飛行機なんかに乗ってたの?」

「そうじゃ!ハワイで新しい男をナンパするのじゃ!」

「ハアーッ?あたしそんなヒマないわよ!明日からまたテニースでバイトがあるのよ!」

「あ!そうじゃったな。じゃあ引き返すか。」

「ちょっと待ち!せっかくだから、少し遊ん…ナンパしてから帰るわ!」

 

こうしてビーナスは、アポロンを忘れる為、ハワイでナンパを始めるのだった。

 

 

 

第10回

 

ビーナスはハワイでナンパを始めるのだった。

 

だが、しかし!

 

「ああーんパパ!あたし、英語がしゃべれなかったわ!どうしましょ?」

「大丈夫じゃ!ハワイには日本人が沢山来る!日本人を狙うのじゃ!」

それじゃあ日本でナンパするのと対して変わらないんじゃないのかしらと思いながら、ビーナスはナンパを始める……。

 

しかし!一人でハワイに遊びに来る日本人の男は見つからなかった。大体の男は女を連れていた。

そうこうしているうちに日本に帰る事になってしまった。これで帰らないとバイトを休む事になってしまう!

 

すると奇跡が起こった!ビーナスは逆に男にナンパされたのだ!

「すいません。僕と一緒にラーメンを食べに行きませんか?」

男の名は津毛面太郎(つけめん、たろう)23歳である。

こうしてビーナスはつけめんとラーメンを食べに行く……と思いきや、飛行機の時間が来てしまい、ビーナスは父と日本に帰るのであった。つけめんとケータイの番号を交換していたので、日本に帰ってから会えばいいわとビーナスは気楽に考えていた。

 

日本に戻って来た。

 

2日後、アポロンから電話が来た。なんと!この間のお見合いの返事は、よろしくお願いしますだった。ビーナスは感激した!そして二時間後、つけめんどうしましょ!?と困っていた。このままでは二股になってしまう!そして、つけめんから電話がかかって来た。ビーナスは、つけめんは、ほっとく事にした。

 

ビーナスはアポロンとデートを繰り返していた。しかし!それと同時に、つけめんから、しつこく付け回されていた。

ビーナスはハワイに行った事を後悔した。

 

今日もアポロンとデートである。ただ、今日は妹も一緒だ。

「こんにちはでしたってん。」

ビーナスは意味不明の挨拶をした。

「ちわ!」

とアポロン。

「こんにちはでしたってん。」

妹の雪子はまたビーナスの真似をした。

そしてビーナスのベンツで、助手席に雪子が乗り、アポロンが後で、ビーナスの運転でデートに出掛けた。ちょっと変わったデートかもしれない。

「今日は、ケーキデンキに行きましょう!」

アポロンはパソコンをビーナスに買って上げるつもりだった。

 

ケーキデンキにて。

 

「あの……僕からのプレゼントです。どれでも好きなパソコンを買ってあげます。」

「え……嬉しい!でも、あたし、指輪の方がいいわ。そう、婚約指輪よ!」

「え…つまり結婚ですか?」

「そうよ。決まってるでしょ。」

アポロンは予想外の展開に戸惑っていた。

「分かりました。婚約指輪を買ってあげます。」

「ホント?」

「はい。結婚しましょう!」

 

3ヶ月後。二人は結婚式を迎えた。

 

だが!二人の結婚式に、つけめんと、老人ホームから抜け出した留吾郎が現れた!そして彼らは結婚式場からビーナスを連れ去り、宇宙船に乗って、バイキン星に行くのだった。

 

アポロンは、諦めて別の女性を探す事にするのだった。

 

バイキン星にて。

 

3人は星に着くなり驚いた!この星の住民は、衣服を身に付けていないのだ!そしてこの星には、男と女と言う物がなかった!人は一種類だけだった。男でも女でもない人が裸で歩いていた。

なんとこの星では人は木の根本から生まれるのだ!

 

3人はとりあえず住む所を探した。どうやら、この星では大工さんに頼めば、無償で家を建ててくれるようだ。家だけでなく、全ての物が無償で手に入った。この星にはお金と言う物が無いのだ。まるで楽園だった。

 

しかし!ビーナスはアポロンの事が忘れられなかった……。

 

 

 

第11回

 

ここはバイキン星。留吾郎と、つけめんと、ビーナスは、この星で家を建てて、3人で生活をしていた。

 

「おはよー!」

ビーナスが起きて来た。しかし二人はいなかった。そこでビーナスは、これはチャンスとばかりに、宇宙船に乗り込んで、アポロンに会う為に、地球に向かった。

 

地球。

アポロンは、秘薬「オオキクナアレ」を使って、れもんを二十歳ぐらいにまで成長させた!

そしてアポロンはれもんにプロポーズ!

「流石はれもんさん!今まで見た女性の中で一番キレイだ!僕と是非結婚してください!」

「うん、いいよ。ところで、けっこんって、なに?」れもんは、中身は5歳のままだった。

「結婚とは、僕と、れもんさんが家族になる事を言うんですよ。」

「アポロンが、れもんのおとうさんになるの?」

「ちょっと違うけど、そんな所です。」

 

そしてアポロンとれもんの結婚式。

とんでもない事が起きた!結婚式場に、空から宇宙船が落ちて来た!

ぷしゅー!

宇宙船からビーナス登場!

「その結婚ちょっと待ったー!」

「ビーナスさん!」

ビーナスはアポロンを連れ去る!

そしてビーナスとアポロンは海の見える教会で、二人だけの式を上げる。

 

そして2年後。

二人の間に男の子が産まれた。名前は、真面目是薄(まじめ、ぜうす)である。

ゼウスと呼ばれている。

それから20年の月日が経った。

 

ゼウスに好きな女性が出来た。

アポロンとビーナスの息子。ゼウスの変恋愛が始まる!

 

 

 

 

 

変恋愛物語

第2部

 

 

作、りゅう

 

 

 

第1回

 

これはアポロンとビーナスの息子。ゼウスの物語である。

ゼウスは二十歳。大学生だ。普通の男の子に見えたが、やはりビーナスの息子。変だった。

寝る時は逆立ちをして寝る。考え事をする時はパンツ一枚になる。食事は全て手だけで食べる。変な行動はビーナス譲りだ。

そんな彼に好きな女性が出来た。名前は小中池谷れもん27歳。なんと、かつてアポロンが惚れた女性である。

ちなみに、実はれもんには父親が居ない。みかんがドイツを旅行していた時に襲われてしまい、出来てしまったった子供なのである。

当時は5歳だったが、今は立派な大人の女性になった。

22年前は秘薬「オオキクナアレ」で大きくなったが、アポロンをビーナスに取られた為、違う秘薬「チイサクナアレ」でまた元に戻り、22年経ち本当の大人になった。

れもんは小中池谷カンパニーの女社長になっていた。

15年前に留吾郎が宇宙から帰って来た。その時に大量の宇宙の石を持ち帰って来た。

その石を磨いたら、なんとそれはダイヤモンドだった。

留吾郎はダイヤモンドを販売する会社、小中池谷カンパニーを設立。

しかし5年前、留吾郎は老衰で亡くなった。留吾郎は、れもんが美人だと言うだけで、小中池谷カンパニーをれもんに継がした。

こうしてれもんは若くして、女社長になった。

 

そんなある日。アポロンがてっきと酒を飲む為に、ゼウスを連れて小中池谷家に訪れた。

そして、ゼウスは運命的な出会いをする。

ゼウスが、オシッコをしたくなり、トイレを借りたら、れもんがトイレに入っていた。カギをかけ忘れていて、ゼウスは思いっきりドアを開けてしまった!れもんはトイレ掃除をしていた。

「偉い!しかも惚れた!」

こうして、ゼウスはれもんを好きになった。トイレ掃除をしている姿が輝いて見えたのと、何より、れもんはゼウスが今まで見た女性の中で一番綺麗だったからだ。

居間で、皆でくつろいでいる時に、ゼウスはれもんの携帯番号を聞いた。そしたら、

「メールアドレスだけならいいわよ。」

と言われ、メールアドレスだけ教えてもらった。ゼウスは電話番号を聞けなくて残念そうだ。

れもんは仕事が忙しいので、電話しているヒマなんて無いのだ。それでメールアドレスだけ教えたのだった。

 

次の日。ゼウスはメールで、れもんを映画に誘った。「ハレー・ポッキーと3匹の豚男」と言う映画である。実はゼウスは、れもんはハレー・ポッキーシリーズの大ファンと言う情報を、アポロンから教えてもらったのだ。

れもんは、もちろん行くと言ってくれた。しかし、れもんは多忙の為、映画を見に行くのは1ヶ月後になってしまった。

 

 

 

第2回

 

ゼウスはとてもじゃないが1ヶ月も待てなかった。毎日のように、映画に行きましょうと、メールをした。

仕方ないので、れもんは仕事が終わってから、ゼウスと映画に行って上げる事にした。

 

映画館。22時……

 

「楽しみですね。ハレー・ポッキー!」

実はゼウスはハレー・ポッキーの事なんて、どうでも良かった。

「そうですね。楽しみです。」

れもんはとても楽しみだった。

そして2人は映画を見るのだった。ちなみにお金はゼウスが2人分払ってあげた。れもんはお金は腐る程持っていたが、嬉しかった。

ゼウスは映画を見ている間に、こともあろうか、爆睡してしまった!

そして映画は終わり、れもんに起こされるゼウスなのだった。

れもんは言う。

「すみません。夜遅いから、眠くなってしまったのですね。」

「あ、いや…ハハハ。」

 

そして2人は、テニースで軽く食事をする事にした。

「ここは、親父とお袋の出会った場所らしいぜ。」 ゼウスは手掴みでカレーライスを食べていた。

れもんは、それを受け入れていた。

(手掴みで食べるなんて、かわいいわ。)

れもんはコーヒーを飲んでいた。

 

そして2人はテニースから出て、ゼウスはれもんを家まで送り、そして自分も家に帰った。

 

その後、2人はちょくちょく会っていた。

 

一年後。ようやくゼウスはれもんから、携帯の電話番号を教えてもらう。それと同時に2人は恋人同士になる。ゼウスがれもんに告白したのだ。

 

そして二年が経った。ゼウスは大学4年生になり、就職活動をしていた。

「うん、いいわよ。家の会社に入れて上げる!」

なんとゼウスは、れもんの経営する会社「小中池谷カンパニー」に、すんなり入ってしまう。社長の恋人だから、誰も文句は言えなかった。

 

そしてゼウスは、入社して直ぐに部長になる。異例の事だったが、社長の恋人じゃあ誰も文句は言えなかった。

 

だが、しかし!れもんは他に好きな人が出来てしまった!なんとそれはアポロンだった!

アポロンは、ビーナスと結婚してからも、れもんの事を忘れられなかった。そして、れもんが、ゼウスと付き合っている事を知りながら、ビーナスと離婚をして、れもんにプロポーズした!

実は、れもんも昔からアポロンの事を意識していたのだった。22年前の、秘薬「オオキクナアレ」を使って行った結婚式も、嫌では無くむしろ嬉しかった。

そしてアポロンがプロポーズしてくれたので、ゼウスよりアポロンの方が良くなってしまった。

 

そしてゼウスは、れもんから別れを告げられ、会社もクビになる。

 

アポロンに離婚されたビーナスは、酒に溺れていた。

 

アポロンとれもんは婚約して、結婚式を待つばかりとなった。

 

 

 

第3回

 

アポロンとれもんの結婚式前日。ビーナスとアポロンは久しぶりに2人だけで食事に行く。ビーナスがしつこくアポロンを誘ったのだ。

そしてアポロンがトイレに行っている間に、ビーナスはアポロンのスープに秘薬「ホレテシマウワ」を入れてしまった!

アポロンはスープを飲むなり、ビーナスを好きになってしまった!

「ビーナスさん!よりを戻しましょう!明日の結婚式は僕とビーナスさんの結婚式にしましょう!」

「はい。喜んで!」

ビーナスはしめしめと思った。

 

次の日。アポロンとビーナスの結婚式が行われた。出席者は(あれ?アポロンとれもんの結婚式じゃなかったの?)と思っていた。

 

そしてれもんは傷心旅行に出掛けた。

 

旅行先で、一人の男と知り合った。名前は丸井遊吾(まるい、ゆうご)22歳。

彼も恋人に振られて傷心旅行中だった。

2人は黙って電車に座って揺られていた。隣同士で。

「もし…よかったら、僕と…友達になりませんか?」

「………はい。」

2人は友達になった。

2人で日本中を旅した。れもんは、それなりに楽しかった。自分は、この遊吾と一緒になった方が良いのかもしれないと思った。

 

2人の前に1人の女性が現れた。それは遊吾を振った女だった。

「遊吾!あたし、やっぱり、あなたとやり直したいの!いいわよね!」

「ああ。いいよ。」

遊吾とその女は、女の車でどこかに行ってしまった。れもんは1人取り残されてしまった。

 

れもんは、一人で旅を続けた。

れもんが歩いていると、目の前にパンツ一枚の男がいた。れもんは変態かしらと思ったら、よく見たら、ゼウスだった。

考え事をしていた為、パンツ一枚だったのだ。もちろんれもんの事を考えていた。

「あ!れもんさん!」

「ハ、ハハハ。ゼウスさん。」

「オレ、考えたんだよ。やっぱりオレとれもんさんが結婚すれば良いんだよ。だから、結婚してください。」

「え……あたしなんかで良いの?」

「もちろん!」

ゼウスとれもんは婚約した。

ゼウス、パンツ一枚でのプロポーズであった。

 

 

 

第4回

 

ゼウスとれもんの結婚式。(この物語は結婚式がやけに多いなあ…)

だがしかし!結婚式にれもんは現れなかった!なんと、れもんは結婚式に向かう途中に……

 

れもんはウキウキしながら準備をして、愛車のベンツに乗り、結婚式を行うホテル「アニメ伊藤」に向かった。

途中、信号待ちをしていると、いきなりドアが開き、白ずくめの男が3人乗りこんで来て、隣りにあったベンツでれもんは連れ去られてしまう!

れもんは謎の組織に誘拐されてしまった!

 

結婚式は中止になり、ゼウスは泣いた。

れもんは助かるのだろうか!?

 

ドイツ。

 

れもんは謎の組織にドイツに連れて来られてしまった!

そして古ぼけた家にやって来た。

「おい!着いたぞ!目を覚ませ!」

れもんは睡眠薬で眠らされていた。

「あ、あああ!おはよーです。」

れもんは寝ぼけていた。

「おはよー、私のれもん!」

謎の男はそう言った。

「あたし、あんたなんか知らないよ。」

「何を言っているんだい?僕たちはイイナズケだろ?」

「そんなの知らない!あたしはゼウスと結婚するの!」

「僕はれもんさんの父親に子供の頃から、れもんさんと結婚するように言われて育ったんです!」

「そんなの知らない!あたしはゼウスと結婚する!」「僕はドイツの暗黒組織ホワイト団のボスです!あなたの父親はホワイト団の黒幕です!どうだ!驚いただろ?」

「そんなの知らない!ゼウスと結婚!」

「そうか、そんなに結婚したいのか!だがしかーし!結婚するのはワシとじゃあ!」

「ヤダ!」

 

ガーン!

 

この男はショックを受けてしまった!ちなみにこの男の名はミケランジェロ・コナーカである。れもんと結婚する為に必死で日本語を勉強したのだ!

ミケランジェロは寝込んでしまった!れもんは慰めるのであった。

「大丈夫だよ。他にいい人がいるよ。」

「ヤダ!れもんさんがいいもん!」

「あたしはゼウスがいいの!」

「えーん!」

ミケランジェロは泣き出してしまった!

 

ホワイト団の仕事は、美術館から名画を盗み出して、大金持ちに高く売るのだ!

今日もミケランジェロの部下達は仕事に出かける。ミケランジェロは布団に潜って泣いていた。そして、れもんは慰めていた。

 

日本では、ゼウスと小中池谷カンパニーの一万人の社員が、れもんを、社長を探していた。警察ももちろん探していた。

 

そして2ヶ月後、ゼウスの下に一通の手紙が届いた!

「私の名はミケランジェロ・コナーカです。れもんさんは私の所にいます。私はれもんさんを愛しています。れもんさんと話し合った結果。私とゼウスさんが大宇宙レースをして、勝った方がれもんさんと結婚できると言う事になりました。レースの開始は6月5日です。」

ゼウスは戸惑っていた。そして…

「6月5日って明日じゃないか!」

れもんを賭けて、ゼウスとミケランジェロの大宇宙レースが始まろうとしていた!

 

 

 

 

 

 

 

第5回

 

ゼウスは飛行機で、ドイツに向かった!ミケランジェロに大宇宙レースで勝ち、れもんと結婚する為に!

飛行機はドイツに着いた。するとミケランジェロの部下が対決の場に連れて行ってくれた。

そこは岩場だった。宇宙船が2つ用意されていた。

れもんが見えた。

「ゼウス!」

「れもんさん!」

「絶対に勝ってね!結婚しましょう!」

「ああ、もちろんオレとね!勝ちはオレに決まっていますねん!」

「ミケランジェロとなんて、イヤー!」

「大丈夫!僕が勝ちますから!」

ゼウスは、ガッツポーズをした!

 

二人はそれぞれの宇宙船に乗り込んで、レースはスタートした!

 

このレースは、かつて小中池谷じいさんと、つけめんが、ビーナスを連れて行ってしまった惑星、バイキン星に行き、ダイヤモンドの石を100キログラム取って、早く地球に戻って来た方が勝ちで、そのダイヤモンドはれもんにプレゼントすると言うルールである。

実はこのルールは、れもんが会社で販売するダイヤモンドを増やす為に、れもんが考えたのである。

 

二人が飛び立って3時間が経った。ミケランジェロの宇宙船は順調だったが、ゼウスの宇宙船の調子が悪かった。

そしてなんとゼウスの宇宙船が、動かなくなってしまった!

ミケランジェロの仕業だった。ゼウスの宇宙船には、燃料を少ししか入れないように仕組んだのだ!

ゼウスは焦った!このままでは、負けてしまうし、宇宙をさまよう事になってしまう!

ミケランジェロの宇宙船は見えなくなってしまった。ミケランジェロはゼウスを離して、どんどん先に行ってしまう!

果たしてゼウスは、この危機をどうするのだろうか?

 

 

 

 

 

 

第6回

 

絶対絶命のゼウス!宇宙に取り残されてしまった!

「腹が減ったなあ。何かないかなあ。ん?これは!」

それは(株式会社宇宙出前野郎)のパンフレットだった!

「これだ!出前を頼んで、ついでに助けて貰おう!」

30分後。出前が届いた!ラーメンだ!

そして。

「助けてください!燃料が無いんです!」

「うんええよ。あちきの宇宙船に乗るがええよ。」

「ありがとうございます!」

ゼウスはラーメンを食べながら出前屋の宇宙船に乗り込んだ。ラーメンは伸びていたが、もちろん文句は言える立場ではなかった。

(ラーメンまずー。)とゼウスは思っていた。

 

出前屋の宇宙船は、流石出前をするだけあって、ものすごい早かった!出前は時間が命なのだ!

ミケランジェロの宇宙船をあっという間に抜かして、30分でバイキン星に着いた!なんとラッキーな事に次の出前先がバイキン星だったのだ!

 

ゼウスは出前屋が出前を届けている間にダイヤモンドの石を集めて、出前屋の宇宙船に乗り込んだ!

そしたら、またまたラッキーな事に出前屋は地球に向かった!出前屋は地球から来ているのだ。まあ当たり前だけど。

 

そして宇宙船はものすごい早さで移動して、30分後にゼウスはゴールした!

出前屋は次の出前先に向かった!

ただ、この出前屋はものすごい高かった。ラーメン一杯1000万円である。しかも伸びていた。だけど、ゼウスはミケランジェロに勝てたので、出前屋にものすごい感謝していた。

そしてミケランジェロはいつまで経っても戻って来なかった。バイキン星の素晴らしさに感動して住み着いてしまったのだ。

 

ゼウスとれもんは結婚した。

そして……

 

変家族物語に続く!

龍漫

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